三人は二・三十分ほど町をぶらついてから裏道に入り、
くすんだようなネオンで、
辛うじてスナックやバーなどが軒を並べている一角に来た。
まともな客は遠回りしそうな雰囲気だ。
そして三人は全く明かりの無い、
壊れかかっている空き店舗の中へ入って行った。
地理的にはそれほどの距離は無いのだが、
それまでの表参道、原宿、青山通りという、
華やかな賑わいを見せていた所とは全く雰囲気が異なる。
京介は慎重に辺りをうかがい…
彼らと同じような行動で中へ入るわけにも行かないから、
横へ回ってみた。
その空き家は、やはり元は
スナックなどの飲食店らしかった。
幸いな事に、奥の窓から勝手口(ドアを入ったところの部屋は見えなかったが)から続くキッチンらしき所と、
その奥の事務所のような所が見えた。
そこは空き家のはずなのに電気が点り、
あの三人の他にも人がいた。
二人は中肉中背だが、がっちりとした雰囲気のある目つきの鋭い男たちだった。
中の一人は、初めの三人を含めても一番若いと感じられた。
しかし、いつも背中を見せているから顔までは覚えられない。
「おい、こんな所で何をしているのだ。」
いきなり京介の背後から声が…
その声に振り向いた京介の頭上に金属バッドが。
が、闘う事だけは抜群の実力者、
神から与えられたような反射神経能力で難なくバッドをかわし、
相手を一撃してからその場を逃げた。