ルナが慌てて糸を伸ばし、『人形』の体に巻きつけた。

カルマはその隙に、『人形』から距離を取った。

糸は幾重にも『人形』の体に巻きつくも、今度は四肢の刃が糸を切り裂き始めた。

「うそっ!? 昨夜は通じたのに!」

仰天するルナだが、糸はあっと言う間に切り裂かれ、『人形』は自由になった。

「おいおいおいっ! ウチの血族特製の武器が、何一つ通用しないなんてありえるのか!」

「目の前のことを、現実として受け取るならありえるわね」

さすがにマカも目を丸くしている。

「おい、まさかと思うが…。あの『人形』、対血族用に作られたんじゃないだろうな」

「…かもね。そういうふうな仕様になっているのは、まず間違いないでしょう」

「チッ! 魔女どもめ! 忌々しいのはその存在だけにしといてほしいものだな!」

マカの目が赤く染まり、握る剣に気を込める。