濡れた頬を無理やり擦り、塩辛い水を打ち消した。 底知れぬ闇が目の前に広がっている気がする。 一寸先は闇、ってこういうことか。 先に待っているのは、光に溢れる未来か。 それとも闇に覆われた、暗い過去なのか。 わからないから、歩きだせない。 失敗が、怖いから。 あの時のように誰かを傷付けて、壊してしまうことのないように。 大切な人が、狂ってしまわないように。