そして、その『お兄ちゃん』こそが私の初恋の人、“涼くん”だ。






歪んだ心に接するときに、一番気をつけなくてはならない点はどこか。





それは、『愛』だ。





私も秋も例に漏れず、『愛』なんていう脆くて儚い夢のようなものに飢えていた。





だから、無償の『愛』を向けてくれる『お兄ちゃん』を好きになるのに大した時間は必要なかった。





秋はなぜだかずっと拒絶していたけれど。





今思うと秋は、普通よりも悪意に敏感になっていたのかもしれない。





一番傍で悪意を感じていたのは、他でもなく秋のなのだから。