ある秋の日のこと。
また教頭先生からのお呼び出しを受けて、校長室へ。
「REXの自己PR文を先ほど読みました。
私の推薦文と一緒に、これから提出します。
この後の流れとしては、12月初旬に小論文と面接試験がありますから、準備をお願いしますね」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「合格を願っていますよ。
それと……全然話は変わりますが」
「なんでしょうか?」
「実は、岡崎先生のことです。
まだ公表しないで欲しいというご本人の希望で、最低限、協力をお願いしなくてはならない職員にしか言えないのですが」
その言葉で、すぐにピンときた。
「今、妊娠2か月だそうです。
とてもデリケートな時期なので色々悩んだようですが、今朝打ち明けられました。
松本先生は時間割の担当なので、どうか岡崎先生の体調と通院を最優先にした授業の割り当てをお願いします」
「わかりました。それとなくご本人に希望を聞いてみます」
最近、岡崎先生が丸くなったと評判だったのは、きっとこのせいだな。
良かった。ちゃんとコウノトリは岡崎先生の所へ飛来してきた。
一足先にコウノトリがやってきた木内のところの出産予定日は、1月初旬らしい。
センター試験の前に父親になる予定の吉川が、嬉しそうに教えてくれた。
そのうち我が家にコウノトリが来たら、きっと菫も大喜びするのだろう。