【健のアルバム】
こうして、誕生日に『伴侶』をプレゼントされた俺が次にしたこと。
市役所からそのまま、ショッピングモールで結婚指輪を注文した。
イニシャルを彫ってもらうため、出来上がりはまだ先だが、菫が大学へ戻るまでには手元に届くはずだ。
さらに、校長先生へ報告。
正直、これが一番心配だったのだが、何しろ『REX』の話を頂いた時、こう言われていたので少しは気が楽だった。
『松本先生には彼女がいる、と生徒が噂しているようですね。
いっそのこと、その彼女と9月までに結婚してくれると、こちらも後押ししやすくなるんですけれどね』
校長先生のご希望通り結婚しましたと電話すると、大いに祝福された。
そしてもちろん聞かれたのは、相手の事。
菫の名前を出すと、本気で驚いていた。当然だよな。
それでもさすが管理職、冷静に今までの俺の行動を褒めてくれた。
全く気付かなかった、と。
卒業してから付き合い始めたこと、京都で一緒に過ごしたことを話すと、納得していた。
『少しの間、生徒は騒ぐかも知れませんが、REXの派遣が決まったら、2年は現場を離れますから。
戻ってきたころには、きっと普通の夫婦として受け入れられていますよ』
そう励まされた。そしてさらに。
『いやあ、羨ましいですな~。
新婚生活を海外で過ごすなんて』
と、冷やかされた。
お茶目な校長先生で良かった。