【健の指導教諭記録】
菫が、竹森先生からお褒めの言葉を頂いているようだ。
良かったな。
これなら多分、放課後の研究協議も無難に終わるだろう。
ほっとしつつ教室を出た。
次の時間は3年1組の政経だ。
3年1組と言えば、吉川がいるクラス。
今日も一番前の席で、真面目に授業を受けていた。
「……今日はここまで」
授業が終わってすぐ、吉川を廊下に呼び出す。
「今日、何時に親父さんが迎えに来るんだ?」
「午後一番の手術が終わってから来るって言ってたので、はっきりとした時間は判らないですけど……多分4時位かと思います」
「了解。俺もその位に行くから」
「すいません……」
「いいから。じゃ、後で」
申し訳なさそうに頭を下げる吉川が、周りの注目を浴びそうで、俺はさっさと引き上げることにした。