早速屋上へ向かい、化粧の準備に取り掛かる。


「いいよって言うまで、目瞑ってて」


静かに目を閉じる。


顔の上に何かを塗りつけられたり、フワフワしたものが当たったり、かたいもおが当たったり……。

髪もいじられたり……。


「いいよ、目開けて」


明るい景色が目の前に広がる。

目を閉じる前と変わらない景色。

屋上の、空に近い穏やかな感覚。


「ここに鏡はないけど、確かトイレにあったよね。気になるなら見ておいでよ」


……気にならないわけないじゃない。


「……変だったら、ただじゃおかないからね」

「あたしの腕ナメてもらっちゃ困るんだけど」

「じゃ、見てきてあげる」