「Hey Brother! That was amazing!」


と笑顔で俺の背中を叩いた。


「ブラザー?アメージング?」


それらの単語は知っていたので褒められたことは分かった。

自分のドラムキットに座ったジョノのドラマーは

「ブルーイ」と言って握手してきた。


「マイ・ネーム・イズ・アキ」


「アキ!ナイス・トゥ・ミート・ユー」


ブルーイは俺を受け入れた様子だった。


「ずいぶん分かりやすい性格だな・・・」


「またドラムキットお借りしますんで・・・」


と思いながら俺達は結果が出るまでの間、バルコニーでビールを飲む事にした。


「BJってどういう意味ですか?」


俺は気になっていたので、ビールを飲み干したばかりのノリさんに聞いてみた。


「松田優作のヨコハマBJブルース知ってる?」


「もちろん!」


「ほんと!」


ノリさんは少し驚いた様子だった。

小学生だった俺は夜一人で留守番する事が多く、探偵物語はリアルタイムで見ていた。

炎が全開のライターやべスパ、手錠を簡単に外したり、
缶コーヒーをポケットに忍ばせ銃を持っているフリをし、相手を脅す場面。

ガキの俺にでさえ、かなりのインパクトを与えた。

当時は演技力など理解できなかったが、
年を重ねるごとに優作の奥の深さを痛感していった。

俺の幼なじみは俺より優作フリークでそいつとよく見ていた。

高校の時そいつとブラックレインを見に行った帰りに一緒に泣いたりもした。

その時、生まれて初めて人の死の重さを痛感した。