「じゃー始めようか!」


ノリさんが切り出した。


「ブラウン・シュガーわかる?」


「いやっ」


一度どんな感じか俺抜きでプレイしてもらった。

やはり単調で一度聞けば十分だった。

そして一度通してみんなでプレイしてみた。

あまりにも単調だったので、ちょっと遊び心でリズムを複雑にしてみた。

するとベースのヒデがニヤッとした。


「こいつ分かるのか?」


と思っているとヒデが


「エンディングの部分ドラムソロ入れたら?」


と言い出した。

俺は「待ってました!」と言わんばかりにぶっ叩きまくった。

今日のところはとりあえずこの一曲だけなので軽く2時間ぐらい練習し、
あとは時間まで話をしていた。

まだ叩き足りない俺は本番の「ゴングショー」が待ちきれなかった。

夕方になり、みんなそれぞれ機材を車に積み、
俺は日本から持ってきたスティックだけを持って車に乗り込んだ。


「ビールがんばってね!」


ノリさんの奥さんが見送ってくれた。