グリフは家に帰れば両親共々ご存命で、その上お嫁さん付き。ガナッシュはあれでモテてるから別れもさばさばしてそう。じゃあ、あたしは? どこにも、誰にも必要とされてない現実に戻るだけだ。

 別にいじけてるってわけじゃあ、ないんだけど。なんとなく。彼らと親しくなるにつけ、そんなことを思うように……なっていた。

「まったく、仕事だといってはしゃいで。ブレスなんか吸っちゃって、ガナッシュのやつなんか、心配し通しだったんだぞ?」 

 あたしは一番身近なお姫様の竜の息吹、通称ドラゴン・ブレスを吸ってしまい、倒れたのだった。

 で、何でも一番がいいガナッシュはお姫さまが竜体に変身すると同時にその頭に陣取って角をつかんだという。触ってみると座ってる場所は清潔で心地いい。光はそこから発せられていて、本当に地上の物とは思えない。



 ぼぼっぼおっぼお!


 激しい上空の風が、間断なく耳をふさごうとする。