彼女は精霊珠の中から生まれた。森の守り神さまに祝福をいただいた正当なる森の使者。なのに、草原狼と呼ばれるコヨーテに育てられ、年相応の言葉も話せないようだった。


 それでも時々、話してくれるようになり、ほっとしてたんだけど。あたしは今でも信じてる。一緒に行った二人、グリフもガナッシュもあたしが彼女を見せ物小屋から奪うことに反対はしなかった。

「間違ってない」それだけがあたしにとっての免罪符なのだ。だから、彼女に恥ずかしい教育はできない。あんな、非人道的な見せ物に、よりにもよって、精霊の子どもを引きずり出すってなんなのよ。

 ドロップスに二度とあんな思いはさせられない。

 それにしたって、さらりさらり、と揺れるディノーディアさんの髪にちょっと注目。あ、あたしの思い違い?