「令状はここにある。少女を解放しなければ、立ち退いてもらう……二度とこの町で興業できなくなるだろう」

 そう言って彼は封蝋のついたスクロールを出した。それだけで充分だった。

「なっ、その印は!」

 団長のふるえは最後まで止まらなかった。

 あたしは軽く鞭を打つ真似をしてから、痛かっただろうな、と少女の方を見た。光を映さない彼女の瞳を見て、あたしは泣きたくなった。一度だけ、団長を鞭打って、返した。
それは……馬を打つのと同じ鞭だった。


 
 グリフとガナッシュが何も言わずに協力してくれたときに、あたしは、仲間に包まれる暖かさを知った。あたしには仲間って観念そのものがそれまで無かった。だから、よけいに……うれしかった。

 ドロップスはそれでもやっぱり寂しいらしく、コヨーテが鳴くと一緒になって鳴き始めたり、奇行に走ったりする。これが預ける人、機関を選ばなくちゃいけない理由だ。