「あっぷるぅー、おかおがこわいろ」

 そんなことを言いだす。

「そ、そう?」

 いけない、いけない。この子だって眠ってないんだった。途中、ガナッシュの背中ですーすーいってた気はしたけど。まだ子どもなんだからそれでいいのだ、無理は禁物。もちろん「子ども」っていうのは邪魔って意味じゃない。成長期につき要注意! てこと。他にも事情はある。もちろん、連れてくるのにかなり抵抗はあった。けど……

「べたべたしたり泣いたりしません」ってお約束を結んで、あたし達は彼女を連れてくることにした。何でそんなことまでしてって、思う人もいるかもしれないけれど、あたし達の、特に彼女にとって「約束」はとても大切な意味を持つ。それはおいおい、話していくとして。

 困ったことにこちらもグリフの肩に乗るほど豆のような幼女。依頼者だ。どこの誰を介してきたのやら。こんなこととはつゆ知らず。