「私の炎はその辺のリンを集めて呼気にまぜて牙で着火して燃やしているだけだ。幸い、この里にはリンが豊富だ」

 彼女の話はそこまでじゃなかった。

「私はまだ幼体でな。普通、よく食べ、脱皮を繰り返す幼竜は里を出ない。出られないのだ。見張られていて」

 危険だからだ。そのとききっと、全員が思った。グリフもガナッシュも神妙にしている。ドロップスまで難しそうな顔つき。あれれ、これは……

「あっぷるぅー、お腹すいたろ」

 あっちゃー、すまんすまん。おやつの時間になんにもあげてなかった。

「ちょ、ちょっと、失礼……」

 ささっとドロップを口に入れてやると、なんとドロップス、よっぽどお腹がすいていたらしく、もりもりと口を動かす。

「噛んじゃ駄目よ、虫歯になっちゃう。食べたらくちゅくちゅ、お口ゆすごうね」

 こっくんと、ドロップスはうなづいた。

 こういうとこ、可愛いなって思う。