……負けた方の亜竜人はね、一生を泉のほとりで暮らすか、人目に付かない場所で過ごすんだって。ひっそりと。

 やあよね? 怖いよね? ひとりぼっちだよ? もう、もうずっとずっと、家族や友人、大好きなひとに、会えなくなるんだよ? 

 会えなくなった人々がいるってだけで心が凍り付いてしまうんじゃないかってくらい、寂しい思いをしたはずだ。

 出会った頃、あたしたちはみんな、孤独だった。だからよくわかる。

 その伝説の中に込められた悲痛な運命の物語が、いろんな人々の間でどれだけ都合よく、どれだけおもしろおかしく脚色されていようと、あたしたちには手に取るように理解できる。

 負けたものには悲惨な運命が待っている。ある日親しかったひとと急に分け隔てられる。仲間になっちゃいけないと言われる。居場所すら失い、信ずるものさえ失いかけ、それを守るために心を閉ざす。