あ、わかる。

 原因はドラゴン・ブレスだ。

 普通にしててもツンとくるこの臭い。

 里の方からだ。

 実はさっきから目から涙が出るので困っていた。

 吐息だけでもこのダメージってちょっと凄いよ。

 怪しい男達はみんな覆面をしてたから、その辺は、ある程度計画ずくだったのだろう。

「わぬしらが来るのがもっと遅ければ、私はあのハゲチャビンにとっつかまっていた」

 あたしがようやく気力を取り戻し、グリフを見上げると、彼は笑っていた。

「じゃあ、今夜ここで出会ったのは、偶然なんかじゃなくって……?」

 彼女は頭ごと、こっくんとうなずいた。

 その肩に切りそろえられた金髪がさらり、と流れた。

 あたしはどきん、とした。ディノーディアさん、て言えばいいのかな。
 
 ドラゴンって長生きだからなあ。