あたしは彼女から贈られたというロケットをチラッと見た。

 それだけでものすっごいオーラの持ち主だ、とわかる。

 かなわないな、もう。

 今すぐ結婚したら? なんて……本当はいや。彼の一番身近にいるのは、あたしじゃないといや。

 十四歳だった。

 彼のことを神様だと思ってた。

 だけど彼は健康な十八歳のオトコノコで、きっと美人が好き。

 あたしなんて……すごく哀しいことを思う。

 ティラミスさんかあ……あたしもこんな綺麗なひと、見たことなかったからねえ、もてもてのグリフかガナッシュか、どっちかが狙うもんだと思ってたけど。

 見事に予感的中。

 嫌な方へ方へと話が進む。

 泣きそうになる。


 そこから故郷は遠くて、あたし自身もごぶさたしてる。

 ま、会ったらあったであたしの方が二人のおじゃまになっちゃうんだけどね。

 ま、しょーがない。

 ガナッシュとドロップス連れて市場のおばちゃんにでも会いに行く。

 そこでは途中、ガナッシュが横道へそれて別働隊になってしまうし、五歩歩く毎に屋台の食べ物をほしがるドロップスに甘い顔をしてしまうあたしがいた。

 そう、そんな一日があと何千回も起こったって、あたし達は幸福だったろう。




 ……あのひとが現れるまでは。