理想の恋人−上司との恋愛事情−

「好きだ」


「へっ?」


「有美加の事、好きだから言ってんだけど」





顔を赤らめて目も合わせずに言ってる。



そんな一面もあるんだね。






「あたしも好き。だけど、同情とか遊びなら嫌だ」


「そんなんじゃねぇよ。浮気もしねぇし、マジで好きになった」


「あたしもマジで好き、です」


「プッ…じゃ彼氏になってもいいか?」


「はい」






純哉さんがどうして笑ったのか分からないけど、あたしは嬉しくてしょうがなかった。



軽くてナンパ男の純哉さんに好きだなんて言ってもらえるとは思ってなかった。




こうしてあたしたちは付き合い出した。



エッチもしたことあるし、一緒にって言っても居候だけど一緒に暮らしてるし順番は違うけど…純哉さんと付き合えてすごく嬉しい。




この日、会社で目が合うたびにドキドキしてひとりで照れてしまった。







仕事が終わりトモちゃんと約束をしていたから一緒に飲みにきた。



ほんとは、家で純哉さんと過ごしたかったけど。



でもトモちゃんとも久しぶりだし、すごく楽しみにしていたの。



やっぱり社会人になるとあまり会えないもんね。





「嘘?あのナンパ男と?」


「ナンパ男ってやめてよ。純哉さんって言うの」




トモちゃんに純哉さんと再会して、付き合ってる事を話した。



もちろん、お兄ちゃんの事は言えないから一緒に暮らしてる事までは言えないけど。






「すごいね。再会して、しかも付き合うって」


「だよね?すごく優しくていい人なの」


「ノロケないでよ」


「フフッ…それは約束できないかも」





今朝から幸せすぎて、自然と顔が緩む。



仕事の人たちにも『いいことあった?』なんて聞かれたりしたし。






「ほんと有美加は幸せそうな顔してるね」


「だって幸せだもん」





ノロケすぎるあたしに呆れてるトモちゃん。



でも、ちゃんと話を聞いてくれて優しい友だち。






トモちゃんとさんざん飲んで喋ってお店を出た。



電車に乗って純哉さんの家へむかう。



もうすぐ純哉さんに会えると思うと嬉しくてたまらないよ。



駅からは少し小走りになりながら急いで家へ帰った。







「ただいま」


「おかえり。迎えに行くって言ってたのに電車で帰ってきたのか?」


「初日から甘やかすと調子に乗りますよ?」






『いいぞ』なんて言いながら玄関までやってきてあたしの頭を撫でてくれる。





「有美加、風呂は?」


「はいります」


「飲みすぎてんなら長風呂すんなよ」


「はい」






あたしは言われた通り、軽くお風呂に入った。



おかしいくらい優しすぎる。




今までも優しかったけど、さらにって感じ。







お風呂から出てきたあたしは、ソファーに座りスポーツのニュース番組を見ている純哉さんの横にすわった。



横からジッと純哉さんの顔を眺めてた。


やっぱりカッコいい。



仕事中のスーツ姿もカッコいいけど、家でもラフな感じもカッコいい。






「ん?どうした?」





あたしがあまりに見てるもんだから、視線に気づいた純哉さんが優しくたずねてきた。





「カッコいいなと思って。こんなカッコいい人がほんとにあたしの彼氏になのかなって」


「お前の彼氏だな…俺は」


「フフッ…幸せ」





肩を抱かれて少し体を寄せておでこにキスをされた。





「あんま可愛い事言うなよ」


「純哉さんも」


「ん?なに?」


「そんな事ばっかり言わないで…もっと好きになっちゃうから」


「……プッ。可愛いすぎんだろ……毎日言うからもっと好きになれ」






そう言って、今度は唇にキスをされた。



この感触…覚えてる。







唇を離して、優しく頬を撫でてくる純哉さん。






「有美加、今日から一緒に寝るか?お前がいいって言うまでやらねぇから」


「純哉さんがいいならあたしはいつでもいいよ」





あたしも一緒に寝たいって思ってたし、抱かれたいとも思ってる。


でもね………。





「でも、あたしの体汚いから申し訳ないよ」





そう言った瞬間、純哉さんにキツく抱きしめられた。