「これ…。わざわざ持ってきてくれんでも、捨ててくれてよかったのに」

どうせ、読まへんねんから…。


「時間あるときくらい、読んであげてもいいんじゃない?じゃあね、お大事に」


そう言って、富美江は部屋から出ていった。

扉の向こうで、様子を見に来たお母さんとの会話が聞こえてくる。


「お菓子くらい食べて行けばいいのにねー?」


そう言いながら、お母さんが部屋に入ってきた。


「てゆうか、頼道くん、超イケメンよね~♪」

「はい、よく言われます!お母さんも超美人やないですか」


やっぱり…。
お母さん、イケメンじゃないと家に入れないもんなあ…。

一般的に見て“超イケメン”って言われる頼道くらいなら余裕でスルーやな。

あたしにはどこがええのかわからんけど。

てか頼道、お前、ムカつくくらい潔いな…。

まあ十何年も生きてれば、自分が他人にどう見られるかなんて、分かりきってるか。


あたしも…、そうやし…。