「優霧~、優霧ぁ~」


ん?富美江の声や。
そうか、お見舞いに来てくれるんやったな。

そう思ってあたしは目をあけた。


「おっ、患者が目を覚ましたぞぉー!奇跡だ、奇跡が起きた!神様ありがとう!」

「!!?」


何故か目の前には、寝起き一番の病人におもいっきりボケをかます頼道の姿があった。


「なっ!!?
なんであんたがここに!!?
ってか勝手に入ってくんなや!
この変態不法侵入者がっ!!!」

「ひどっ!!!せっかくお見舞いに来てあげたのにーっ」


まだボケたりないのか、ガーン、なんて効果音までつけて泣き真似をする頼道。

隣にいた富美江はそんな二人のやり取りを微笑みながら見ていた。


「富美江か!こんな奴連れてきたん!?」

「そーよ、悪かったわね。別にいーじゃない☆」

「“いーじゃない☆”って…」

「そーよそーよ、いーじゃない☆」

「お前は黙れ」

すかさずボケようとすんなっ!

「ごめんね、あたし今日急に用事が出来ちゃったから、頼道くんについてきてくれるよう頼んだの。悪いけど時間だから行くね。はいこれノートのコピーと山盛りのラブレター」

富美江は紙袋に入れられたそれらをあたしに渡して、部屋から出ようとした。