頼通は一瞬窓の外を見た。

「…それはまあべつにええねん。その時な 空からなんか飛んで来たんや。なんやと思う」
「なんや まさか 鳥さんの…」
「こらこら乙女が何言うとるねん。そんなことやったらわざわざ喋らへんやろ」
「失敬失敬。で 何なん」
「紙ひこーきや」

あ やっぱり 紙ヒコーキの話やってんな。

「勿論 理科のプリントでできとるやつやったわ」
「のわっ。じゃあ それ うちが…」
「せや。あれは夕霞ちゃんが折った紙ひこーきやったんやわ。俺の天才的ナイス頭部にブスリときやがったっ」

え~ まじかいな。そんなこともあるもんやねんなあ…。
てか…

「その頭のどーこーがー"天才的"やねんっ!」

いかにも脳味噌つるつるてんやんけ。

「おいおいそんなこと言うててええんかこのやろう。ほんならなんや。夕霞ちゃんのが脳味噌つまっててシワたっぷりやってか」
「あたりまえやろ!あんた うちをなめてたらあかんで。夏休み明けの学力テストで証明したるわ」
「ほな 負けた方がアイス一週間おごることにしようや。しかも!ハーゲンダック!!」

は ハーゲンダック!!

「あれ いくらすると思ってんねん。あんた 負けたら高校生なんて財布が破産するで」
「負けへんからええんや」

こ 小癪なあ~~~!!!

まあ こんなやつに負けるわけがないわ。なんたってうち テストではいつも三本の指に必ず入ってるんやからな。

せいぜい 泣きをみるがいいわ。