それから私達は華織ちゃんも含め、四人で談話することが多くなった。男子二人は音楽が大好きで、バンドも組んでいる話を聞いた。私も華織ちゃんも音楽は大好きだから、四人で話をしていると、良く音楽に関する話になる。
「今度、カラオケ行きたいな」
 今日も、廉君のこの一言がきっかけだった。
「カラオケと言えば、やっぱり夏稀でしょ!」
「え、何、夏稀ちゃん、歌上手いの?」
 華織ちゃんがそう言ったのに反応して、壱ノ瀬君が私に好奇の目を向ける。
「いやいやいや、私、そんなに上手くなんて……!」
「そうやって謙遜するー。夏稀は本当に上手だよ、あたしが保証する!」
 ね、と華織ちゃんは嬉しそうに笑う。確かに、あたしは小さな頃から、兄の歌う歌を一緒に歌ったり、兄が作った歌を歌わされたりして居たため、歌うことだけは得意分野に加わる。
 華織ちゃんの言葉を聞いたからか、次は廉君から、興味のありそうな目を向けられた。
「へえ? じゃあ夏稀、好きな曲は何?」
「好きな曲……私の好きな曲は、何処の誰が作ったのかも分からない、でも素敵な恋の歌だよ」
 私は皆に、自分には兄が居て、その兄が聴いていた曲は兄のバンド仲間が作ったものなんだ、ということを説明した。華織ちゃんも壱ノ瀬君もロマンチックだね、と感動していた。けれど何故だかその時、廉君だけは、とても難しそうな顔をしていたのだった。