菜美、歩くの速すぎだよ~!


あたしは心の中で文句を言いながら、必死に菜美の背中を追った。

蒸し暑い空気の中、汗がどんどん流れてくる。


菜美はどこに行くのかはっきり決めてるみたいで、一度も振り返ったりキョロキョロしたりしなかった。



ホントどこ行くんだろ・・・?


どんどんあたしたちの町を離れて、あんまり知らない住宅街に出た。


ここらへんって、けっこう高級な家が多いとこだよね・・・。

一人でちゃんと帰れるかな;


だんだん不安が違う方向にそれていきそうになった時、急に菜美が見えなくなった。


・・・あれっ?


あわてて追いかけて角を曲がると小さな公園が見えた。


そこでは菜美と、誰かが向かい合っている。


「誰だろ・・・?」


気づかれないように、こっそり電信柱の陰に隠れて(完全に怪しいけど)公園の中を覗き込むと・・・、


「!! いずみちゃん・・・?」