「その後、俺は母方のばあちゃんに今まで育てられたってわけ」

そう言うと、陽斗はごろりと横になった。


「そんなことがあったんだね」

あたしは何て言えばいいか分からなくて、とりあえずそう言った。


「俺の母親は、離婚してから精神的に不安定になってて、車の運転も事故なのか、わざとだったのか分からなかったらしいよ。」

陽斗はあたしの手を握ったままそう言うと、

「いずみのことだけど、あいつの家もうまくいってない。再婚してからすぐに夫婦仲が冷えてきて、それが10年以上続いてるらしいし」


あたしには想像できなかった。

うちの家はお父さんとお母さんがいて、それが当たり前だと思ってた。

でも陽斗は全然違う環境で、たぶんあたしの知らない苦しみをたくさん知ってる。


「だからいずみちゃんのこと、心配してるんだ」


「まあな。あいつはなんだかんだで俺の妹だし、子供の頃からいろいろ辛い思いをしてきたし、それに俺とあいつは・・・」


陽斗はさらにぎゅっと強くあたしの手を握ると


「親父の被害者だから」