「桜、ばいばい」

眠っている桜に、それだけ言って。


あたしは病院を飛び出した。



小さな病院だったから、病室も1階で。

看護師の巡回も少なくて。



簡単に逃げられた。


今度はどんな方法で死のうか。


どんなに苦しい方法でも、"あれ"より辛いことなんてないから。



身体よりずっと、



心が痛かったから。