ガラスのようなものが割れる音。
お父さんの怒鳴る声。


次々に飛び交う音や声。


聞いているのが怖くなった。


だから、走って走って。
聞こえなくなっても走り続けた。



体力の限界に近づいた頃、やっと足を止めた。



そのときは小学3年生だったけど、

幼くても分かる。


"あたしが壊したんだ″って。


あたしが黙っていれば。

あたしが見なければ。

あたしが早退なんかしなければ。


どうしようもない感情に、

押しつぶされそうだった。