『特別』って、私は特別?

なーんて、そんなわけないじゃない。『今日は』特別って、桂木君は言ってたでしょ?
子猫を拾った特別な日って事よ。

私は一人でノリツッコミをした。

人気者は大変だなあ。私なんか、例え電車で同じ高校の生徒が横に並んでも、話し掛けられないもんなあ。

それにしても桂木君って、みんなにチヤホヤされて喜んでると思ってたけど、そうでもないんだ…


「なあ」

「は、はい」

後ろから桂木君に呼ばれ、私は慌てて振り向いた。

物思いにふけっていて、駅を降りてからバス停への道を、一人でどんどん歩いている事に気付いていなかったらしい。