桂木君と一緒に電車に乗り、同じ駅で電車を降りた。

「不思議だな…」

つい私が呟いた言葉が桂木君に聞こえたらしく、「何がだ?」と聞かれた。

「桂木君はいつも電車で通ってるんでしょ?」

「ああ」

「私もだけと、今まで駅や電車で、桂木君を見掛けた記憶がないなあと思って…」

「時間と車両をずらしてるから」

「え? 何で?」

「通学の時ぐらい、ゆっくり音楽聴いたり、本を読みたいからさ」

「つまり、学校の人に会って、話し掛けられるのが嫌って事?」

「そういう事」

「じゃあ、今日はごめんなさい。学校を出た所でさよならすべきだったね?」

「いや、今日は特別だから…」