桂木君は少し上を見て、思い出すような素振りをした。

「そう言えば、そんな奴がいた気もするな」

「可愛い名前だから、いつかペットに付けたいなって、ずっと思ってたの」

「ふ〜ん」

「でも、飼うのは桂木君なんだから、”シロ”でいいよ?」

「おまえ、俺のことバカにしてるだろ?」

「してないよ」

「まあいいや。じゃあ、猫の名前は”パーシー”に決まりな」

「いいの?」

「ああ。考えたら、いい名前かもな」

「ありがとう、桂木君!」

私は嬉しくて、思わず桂木君の腕に抱き着いていた。

すぐそれに気付き、「ごめんなさい」と言って離れたけど、男の子にそんな風に接したのは初めてで、すごく恥ずかしかった。