桂木君に「どうした?」と聞かれたので、正直に「沁みると嫌だなあ…」と打ち明けた。

子供みたいで恥ずかしいけど、あの時以来、消毒が怖くて仕方なかった。

すると、「じゃあさ、俺の傷で沁みるかどうか試してみるよ。な?」と桂木君が提案してくれた。

てっきり桂木君からバカにされると思ったけど、桂木君って案外優しいんだなあと思った。

桂木君が先に消毒したら、「うっ」っと言って一瞬だけど痛そうな顔をしたので怖くなったけど、「ほんの一瞬だから」という桂木君の言葉を信じ、私は桂木君に手を差し出した。

さっきみたいに指を摘まれると思ったら、ギュッと握られてしまった。