男子の大きな声がした。
彼女って、もしかして私の事?

片山君が怪訝な顔で教室から出て来た。そして私を見ると、窓の方、たぶん桂木君をチラッと見てから、『俺か?』というように、自分の事を指差した。

「うん。片山君に話があるの」

「そっか。鞄持って来るから、ちょっと待ってて?」


片山君とは、帰りながら話す事にした。

「話って?」

「え? ん…あ、今日はすみませんでした。片山君まで授業サボらせちゃって」

「ああ、いいって。おかげでよく眠れたし」

「あのね…」

「ん?」

ああ、言いにくいなあ…

「私が泣いた理由なんだけど…、分かっちゃった?」

「ああ、その事か。分からなかった」

「あ、そうなんだ…」

「なんてね。分かるに決まってるっしょ?」