そう言えば、あの時の紬はほとんど俯いてて、俺を見ようとしなかった…

それに、俺のメールに返事をくれなかった…

「俺が、女たらしだからか?」

「はっきり言えば、そう。そもそも紬は男嫌いなの。特に女性を捨てる男は大嫌いなの。許せないのね。それは紬の出生に関係が…。あ、ごめんなさい。今のは聞かなかった事にして?」

「もしかして、お父さんがいないというのは…」

「やめて。紬のプライバシーだから、これ以上は言いたくない」

「分かった」

『言いたくない』と言っても、もう言ったも同然だよ。

紬の父親は、紬と紬の母親を捨てたに違いない。だったら、俺みたいな男は、嫌いで当たり前じゃないか…