教室に戻ろうとしたら、廊下で圭介が壁を背にして立っていた。

腕を組み、いつになく真面目な顔をして。

「じゃあ、詳しく説明してもらおうか」

「ああ」

俺は昨日の事を、包み隠さず全部圭介に話した。

「ふ~ん」

話し終わった時の、圭介の反応はそれだけだった。

てっきり説教やら何やら言われると思ったから、俺は拍子抜けしてしまった。

「圭介、怒らねえの?」

「あ? 怒るより、呆れたよ。おまえは、少し痛い目に合わねえと分からないらしいな?」

「ど、どういう事だよ?」

圭介は俺にそっぽを向き、教室に入って行った。

俺が「圭介!」と呼んでも、振り返りもしなかった。