そして問題の昼休み。

「琢磨、俺は購買にパン買いに行くけど、おまえはどうする?」

「え、ああ、そうだなあ…」

チラチラと教室の入り口に目をやっていたら、ひょこっと明日香が現れた。

俺がギョッとしていると、明日香は弁当らしき包みを持ち上げ、俺に笑い掛けて来た。

放っておくと、『琢磨~!』なんて大声を出しかねないので、慌てて明日香の所へ向かった。

圭介が後ろから「後でじっくりな」と、低い声で言うのが聞こえたが、俺は恐ろしくて振り向けなかった。


「あんた、本当に弁当作ったのか?」

「うん、そうだよ。どこで食べようか?」

明日香はちょっと恥じらいながらも、満面の笑顔だった。