「ハァー」

俺、どうしちまったのかなあ…
昨夜からずっと、胸の動悸が治まらない。心臓がいかれちまって、死んじまうのかなあ。

特に紬を抱きしめた時の事を考えると酷くなる気がする。あんな事ぐらいで…

女を抱いた事なんかいくらでもあるし、裸の女を抱いた事も何度かある。だからあんな事、俺には何でもない事なんだ。

やっぱり心臓がおかしいんだろうなあ。お袋さんに言って、病院で診てもらうかなあ…


「よお、色男。溜め息なんかついて、どうした?」

こういう時に、必ずと言っていいほど絡んで来るのが圭介だ。

「俺さ、もしかすると心臓が悪いかもしんない」

「ほお…症状は?」

「動悸がするんだよ。不整脈っていうやつかなあ」