その後、少し他愛のない話をみんなでして、私は桂木君の家を後にした。

桂木君のお母さんは夕飯を食べて行くように言ってくれたけど、早く帰らないといけないので、と言ってお断りした。

桂木君が駅まで自転車で送ってくれる事になった。男の子と自転車に二人乗りするのは初めてで、緊張した。

「紬、どこに掴まってるんだ?」

「え? イスの所だけど?」

私は桂木君が座っているイス(サドルだっけ?)を両手で持っていた。と言っても、桂木君のお尻があるから、しっかり掴むほどのスペースはないんだけど。

「そんなんじゃダメだ。俺の腰を持つといいよ」

「え、こう?」

私は、桂木君のデニムの腰のあたりに軽く手を添えた。