頭痛薬の錠剤をゴクッと飲んだ亜希子さんに、「大丈夫ですか？」と聞いた。

「ちょとした頭痛だから大丈夫よ」

「すみません。お二人を驚かせちゃって…」

「いいのよ、気にしないで。本当の事が分かって良かったんだから。紬ちゃんが言ってくれなかったら、この先もずっと騙されるところだったわ」

「桂木君は、お宅でそういう話はしないんですか？」

「全然よ。女の『お』の字も聞いた事ないわ。お母さんは？」

「私だってそうよ」

「でも、彼女を連れて来たりとか…」

「一回もないわ。今日の紬ちゃんが初めてよ。だから私も母も慌てちゃったけど、やっと琢磨にも彼女が出来たと思って、ホッとしてたのよね…」

この家に来たのは、私が初めてなんだ…
ちょっと、嬉しいかも。