はる~は名のみ~のお~かぜえ~のさむさやあ~



「あ、パパのママの歌だ」



「勇二、聞いときなさい。あなたの命を救った歌よ」



「ママ、それ何遍もきいたよ」



「何べんでも、聞いておきなさい」



 今日は命日だ。



 パパのママの。



 ボクはきれいな空気に触れた気がして深呼吸した。



 それを欠伸と勘違いされ、しかられた。



「おまえ、あのときのことを忘れたの?」



「覚えてるよ、おぼえてる」