―リヒト!―

 都内の私立高校に通う古賀リヒトは、ごくごく普通の二年生。

「あーあ、やっとかよ。つっても帰ったからってやることないんだよなあ」

 今日は進学組のみの模擬テストの日。

 それも済んだからには学校に用はない。

 就職組は制服フリーで、実は彼は進学組の中でも目立ってしまう改造服を着ているのだが、別段なんと言うこともなしにクラスメイトの宮下の家へ足が向かっていた。

 途中、雨に降られそうになって小走りに路面を駆ける。

 必死で宮下の家にたどり着いてめいっぱい、呼び鈴を鳴らした。