「ごめん琉生、さっき何か言った?」
元いた席へと着き、琉生の顔を覗き込む。
しかし、琉生が下を向いているからか、顔が暗く表情が伺えない。
「……」
「琉生?」
「………俺もう帰る…」
「えぇ!?」
いきなり立ち上がり、鞄に荷物を積めだす琉生。
「ちょっ!琉生っ!今まだ昼休み…」
「気分悪いから早退しますって伝えといて」
「はぁ!?何言ってんの!?何機嫌悪くなっちゃってる訳!?私何かした!?」
「……うるさい!!」
私に背を向けたまま怒鳴り声をあげる琉生。クラスにいる生徒たちも空気を読んでか、一切声を出さずに遠巻きに眺めている。
そして、ゆっくりとこちらを振り向いた琉生は、鋭い、いかにもな怒りの眼差しで私を睨んできた。
「……お前…もう知らねぇ」
そうぽつりと呟いた琉生は、踵を返して教室を出て行った。