俺の中では、兄妹という倫理観はすでに存在しない。

その点に関しては、狂っているといってもいい。

従姉、祖母などと関わってきたからな。

でも、俺のような奴が千鶴などと結ばれていいわけがない。

千鶴には相応しい男性がいるだろうし、俺が誰かに近づく事は許されないのだ。

それは、今まで闘ってきた中で結論を出した事だ。

「大丈夫だ」

「王子様」

笑顔を作る。

でも、ロベリアは悲しい顔をしていた。

俺が、解るのだろう。

「悪いな」

ロベリアは何かを答える事無く、俯いていた。

二人で降りると、丁度、ジャスミンが帰ってきていた。

「姉さーーん!」

見慣れた姿のジャスミンが今時の服を着ながら、ロベリアに抱きついた。

「会いたかった!会いたかった!会いたかった!」

色んなところにキスをする。

まるで夫婦のようだ。

一件落着したかに思えたが、姉を好きな事は変わりない。

ただ、自分だけの物にしようという意識が薄まっただけだ。

「今日は一緒にお風呂に入ろうね!」

「うん」

「やった!」

子供のように無邪気に喜ぶ。

「千鶴ー!今日のご飯は何ー!?」

本当、明るくなったな。

元のジャスミンが、そうだったのかもしれない。