千鶴が見つかる事無く、高校付近へと辿り着いた。

夕刻になっており、少し肌寒さを感じる。

「先に家に帰ってるのか」

「あんた」

「ん?」

子鉄が一人で歩いている。

「子鉄」

子鉄には、まだ真実を話していない。

「聞いたわ」

「何を」

「あんたとアタシの関係」

「誰から?」

「龍姫からよ」

「そうか」

淡々と会話が進んでいく。

別段、真実を知られたからといって、驚く事もなし。

龍姫も、時期を見て話したんだろう。

別にお喋りだとは思わない。

「何で、黙ってたわけ?」

「誰も、巻き込みたくなかったからな」

「そう」

「でも、結果は、みんなを巻き込む羽目になっちまった」

そういえば、もう一人の男が見当たらない。

ずっと、見ていないような気がする。

子鉄は、追求しようとはしなかった。

「あの、スーツの男は?」

「風間のこと?それなら、海外に行ってるわ」

「何でまた?」

「信仰を広げたいんだとさ」

「そうか」

彼氏と離れて寂しくはないのだろうか。

今までが戦いだったから、気にする暇もないのかもしれない。