「本当に、信じていいか?」

「うむ」

渋い顔つきは変わらない。

ここで、食って掛かるのは筋違い。

龍姫は一生懸命やってくれてるじゃないか。

「解った」

辺りを見回してみる。

そこには、見た事のある人達や妖魔の姿が見て取れた。

「子鉄」

他には、萌黄さんに瑠璃子、親父に洋子。

一瞬見ただけでは解らなかったが、高校の時に話した事がある東海や伊藤や沖田の姿もある。

他にも、一般人が混じっている。

妖魔の姿も見られるが、こちらは少ない。

知っているのは、ジジイと久遠くらいだ。

ジジイは遠くにいながらにも吟の様子を見ている。

足りない妖魔や人も何人かいるようだ。

何が、起こっているのか。

「こちらへ」

紅玉に誘われるままに、俺と千鶴、クルトとロベリアと琴は神殿の中に入っていく。

吟は治療を受けるために龍姫に別室へと連れられる事になる。

マリアや摩耶は子供達の世話をしており、アカ・マナフは生徒達の相手をしていた。

今、俺がやらなければならない事は、吟の傍にいる事ではない。

吟は大切だが、傍にいたところで邪魔になるだけだ。

吟は龍姫に任せる。

今の状況を把握しなければならない。