何発かの銃弾が飛び交うのと同時に、辺りが煙に包まれる。

「があ!」

腕で防いだものの、数発の銃弾は体のところどころを撃ち抜いていた。

地面に倒れ込むと、立ち上がることが出来ない。

『王子様、身体的に現世よりはみ出る可能性あり』

しかし、煙の中で俺を奥へと引っ張っていく影を見る。

扉を閉めると、引っ張っていた影の正体が解る。

「完了しましたよ」

それは、アカ・マナフである。

「そ、うか」

血が流れ、意識が朦朧とする。

千鶴や摩耶、子供たちの姿はない。

残っているのは、汗をかいている吟だけだ。

「吟」

「今は、喋るな」

奥の間には、魔法陣が描かれている。

「転移、させたんだ、な」

アカ・マナフは先に転移魔法陣に乗り込み、姿を消す。

「また、無理を、させちまったのか。すまない」

「お前はどこまでも、一途な奴だ」

「だって、吟がいたから、ここにいられる」

「そうか」

吟は俺を抱いて、魔法陣の中に飛び込んだ。

魔法陣の先には、見覚えのある風景。

そこは、龍姫の住処であった。