文之と過ごす時間は葵にとって大切な時間であり、心も身体も満たされていた。


葵は文之の身の回りのことを一切聞かない。

聞きたくないのではなく、聞きことで自分との関係が駄目になってしまうことを恐れていたのだ。

いや、関係はそもそも最初から不条理ではあったが葵は自身の恋愛を出来るだけ正当化したかった。

(私は恋をした。相手も私を愛してくれている。もうそれだけでいい。)


後に、文之の愛情は葵の生活の細部において、「援助」という形を変えたものになり、行き届くこととなった。


「学生を卒業したら、毎日一緒に居よう。葵はもちろん夜のお店は辞めるんだよね?」