言葉にならない言葉が胸の中で浮かび、やがて沈む。

そんなことを何度も何度も繰り返す。

(なぜ?なぜ?)


そんな葵を知ってか知らなくてか文之が葵の頭に手をやる。


とても温かい。


髪の毛を撫でるその手つきは小慣れている。

そのまま文之は葵を自分の胸の中へと抱きよせた。


もう葵の頭の中には少しの疑問も罪悪感も無くなっていた。


葵の顎の先に手をやるとそのまま文之の唇へと重なった。

長い長いキス。


キスがこんなに気持ちが良いものだったとは知らなかった。


何もかも受け入れてくれるようなこの胸の深さにどこまでも甘えてしまいそうだ。