「27です!でも気持ちは十代ですよ~」
と元気に順ちゃん。「25になりました」と少し控えめに夏ちゃん。

「はたち・・です」
と葵に続く。

「へぇ、君はだいぶ若いんだね。」
男の目が葵に向く。

「はい。」わりと元気の良い声で答えることが出来た。

しかしその先が続かない。困った。僅かな沈黙が流れる。

ママが少しだけこちらを見ていた気がした。
そんな空気を変えるようにママが切り出す。
「田中さん~おビール飲んでもいいです~?
「あ、そうだったね。ごめんごめん。君たちも好きなもの飲んでいいからさ。」

なんだかこんなやり取りでさえ疲れを感じてしまう。

話しかけることも話しかけられることもなんだかぎこちない。

(私にはやっぱり向いてないんだ。今日一日でおしまいにしよう。)
葵は早々と、そう心に決めていた。