固くしっかりとした蓋をそっと外す。

すると中から紺色のまるびを帯びた箱が覗かせていた。

そっとその箱を手の平に乗せ、見つめる。

小さな頃、母の鏡台の引出しにこんなケースがいくつも入っていたのを思い出した。


しっくりと手に馴染むその箱を前に、葵は更にゆっくりと上蓋を開ける。


「すごい!綺麗~!
すっごく綺麗!!」

葵は思わず声をあげてしまった。

隣りの文之もそんな葵に満足気な表情を浮かべた。