少しぼっーとした頭で葵は文之の車を待っていた。

約束の18時を20分ほど過ぎたところに、ようやく文之は現れた。

緑色のBMWに乗り込むと葵は一気に固い表情を浮かべた。

染み付いたタバコの臭いの消すため置かれた消臭剤がお手上げですと言わんばかりにカラカラに乾燥しきっている。

結局、車内での会話はほとんど文之に委ねる形となった。

想像以上に、いや想像することは不可能であったため一つ一つに一喜一憂していた。